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放課後のかみさま



「やばい。青木。オレ卒業前にやり残したことある…!」


卒業式を明日に控え、あっくんが青ざめた顔で言う。
いい3年間だったなぁと、親友同士でしみじみしていたら、だ。


「え?なになに?俺、手伝える?やり残したことは全部やろう!」

「青木、お前バカだけど、いいやつだな…。よし!青木、なんか白い紙を出せ!」

「白い紙?ちょっと待って…」


お互いに待ち人ありの俺らは、誰もいなくなった教室でいつものようにしゃべっていた。
橋下さんも、井田も、まだ来ない。

俺の出した無地の用紙にあっくんが「こんなんだっけ?あ、画像検索しよー」とか言いながら、書き上げていく…。
…これって。


「じゃーーん!!コッ○リさーん!」


秘密道具のノリで言うなよ。


「あっくん…俺、来月から大学生よ?もう19になるんですが…」

「だからだろ!大学のキャンパスでコッ○リさんはしねーだろ?
コックリさんができるのは学校の校舎までな気しね?高校が限界」

「高校だってしねーよ。これ、小学生までだろ…つーか、俺。この手のオカルト無理!」

「仕方ねーだろ。小学生の頃やろうって言ったら、結局みんなビビッてできなかったんだよ!
青木、お前。オレにこの3年間、どんだけお世話になったと思ってんだ!ほら早く指を置け!!」


絶対ヤダ!俺だって小学生のころ逃げた一員だ。絶対に絶対にいやだ!
抵抗を続けていたが、5円玉を無理矢理、人差し指につけられた。


「はい。青木の指、はいりましたー!指外すと呪われるから!」

「げ!きたねーぞ!コッ○リさんがくるまでは、こんなのただの5円玉だろ!」

「じゃあ、指を外してみな!できるもんならな!!」


俺がやったルールでは、コッ○リさんが降臨するまではノーカウントだったが…
あっくんのとこは違うルールだったのかも…できない…指を外して、呪われたくない…


「ふふ…観念したな!無駄な抵抗だったな!」

クソ、むかつく。橋下さん、こんなののどこがいいんだ…。



◇



卒業式を明日に控えた、教室。
窓からきれいな西日が差しこむ放課後に、俺たちは…


「コッ○リさん、コック○さん、どうぞおいでください…」


…最高にバカだな!早く、井田こねーかな!
部活のメンバーと最後の別れをしているだろう井田を想う。
何なら、部員連れてでもいいから、止めてほしい…いや。逆にあいつらなら一緒にやりそうだな。
やっぱり、いらん。


「うひょひょ!コッ○リさん、はいりましたー!」


5円玉が『はい』に動く。俺は力を入れてない…。あーこういうの、ほんとダメ。やばい、怖い。


「コッ○リさん教えてください、青木の好きな人は誰ですか?」


白い紙の上を5円玉と、2本の指が動く。


『い』 『だ』


「井田だってー!コッ○リさんすげー!」


あっくんがはしゃぐ。俺は恥ずかしさと怖さで、心臓がバクバクしてきた。
俺は動かしてないよ?え?まじで、いるの?コッ○リさん…。どうしよう、怖い怖い。



「よし、じゃあ次!みおちゃんの好きな人は?」


『お』 『れ』


「オレだってー!すげーよ!コッ○リさん!!」


良かった。あっくんがアホでよかった。本当によかった!
犯人が分かって、ひと安心。

そんな時、教室のドアがガラガラと開く。




「青木、お待たせ。ん?何してんだそれ」

「あ、井田♡」

「あ、青木、指離した」


◇


明日は、卒業式か…。

今日で学校帰りに一緒の電車に乗るのも最後だな…。
と物思いにふけた。

来週には京都に発つ。二人で。
渦中にいる時は昏いと思っていた受験期も、過ぎてみれば、思い出の一つ。


「青木、どうした?気分悪い?」

混んでいるとは言えないが、座席が空いているほどでもない。そんな帰りの車内。
隣の恋人は、教室から元気がない。

相多と毎度のいちゃいちゃ。これも最後だし仕方がないかと思っていたら、
今日のメニューはコッ○リさんとのことで…。
呆れるのを通り越して、感動すらした。流石、青木と3年間友人だっただけある男だ。


「…だ、大丈夫。井田、心配かけてごめん」


小さく笑う。青木、心霊系ダメだもんな…。
相多のやつ、なんてことを…。

青木を抱き寄せて、落ち着かせる。
寄り添ってくる青木。ここは車内。いつもなら青木が恥ずかしがるだろう。
でも、この町にいるのもあと少し。人の目よりも、青木が優先。


家路へと揺れる電車…。青木の匂いが近い。

明日の式が終わった後、そのまま謝恩会がある。
そのあとは…持ち込んだ私服に着替えて、二人でホテルに行くことにしている。

体を寄せる青木を見ると、このまま帰したくないと思う。でも、明日のことを思うと…。


「青木、次、一緒に降りて、そのまま。うちにくる…か?」


青木の顔を覗くと、ぼおっとしていた。…というよりは、まるで、事後のような…。


「ん…ううん。だいじょうぶ…いだぁ、ん…またあした…」


喘ぐような声を出した後、青木はオレにキスをした。


「じゃ…ね。」


車外にとんと押されて、体がホームに出た。
閉じる、電車のドア。


公衆の面前で初めて、キスをした。



ん?何だ、今の。


◇


…体が熱いっ…


「あっ…♡あんっ…♡ああ゛っ…んんっ」


どうしよう。手が止まんない。


「ああ゛ああん…っ♡」


一目散に部屋に戻って、制服を脱ぎ捨てて、何の準備もせずにちんぽを扱いた。
途中、ベッドの下に隠してあるローションを乱暴にあけて、アナルに塗りこんで穿った。


「あんっ…♡あん…ああ゛っ」


変だ!明らかに変。これって、あの時、指を離しちゃったからなのかな?
コッ○リさんが怒ってるのかな?


「んん゛ッ…♡あっ…あっ♡いだっ♡いだぁ」


そんなわけないと思いながらも、そうじゃなきゃ、この体の火照りの理由が説明できない。
あの時、迎えに来てくれた井田を見て、思わず指を離しちゃった…。
だって、井田がかっこいいから。


「…んん゛っ♡や…、もぅ…やだぁ…♡」


帰りの電車、我慢できなくてキスしちゃった。
みんなに見られてた。あんなこと、絶対しない。いつもなら。

でも、キスで我慢した。本当はもっとすごいこと…井田としたかった…♡
電車の中とか関係ない。本当は井田の服を脱がせて、またがって、井田のおっきいちんぽをしゃぶりたかった。
口でとかじゃない、今、指を自分でズボズボさせている、ここで。

いっぱいしゃぶって、いっぱいいっぱい、俺の中で井田のおちんぽのミルクをだしてほしかった。

いや、おかしい。何考えてんだ、俺。

我慢、がまん、ガマン…。だって明日。

明日になったら…。


「…いだ、の…♡おちんぽミルクほしいぃ…♡」


◇



「あ、青木。よかった。昨日、返事来なかったから心配した」


高校生活最後の日。教室では、あちこちでクラスメイトのすすり泣く声が聞こえる。

昨日、車内でされたキス。
恋人同士なんだからキスは数えきれないほどしてきた。
でも、あんなとこで、青木が自分からしてくるのは、…想像もつかなかった。


「おはよー井田。昨日はごめんな。なんか頭がぼーっとしてた」

「…そうだな。驚いた」


青木の顔が赤くなる。抱きしめたい。早く、連れ込みたい。


「井田…卒業おめでと」


またエロいことをしてくれるのか。と期待していたら、清純だった。


「青木も、おめでとう」


二人で笑いあいながら、式に向かった。



◇



厳かに行われた卒業式。
入学した時には、こんな日がくるとは全く想像もできなかった。

良い学校生活だったな…。そう思いながら青木のほうを見ると、めちゃくちゃ泣いていた。
例のように相多が「この子ったらまったくー」と言って、からかっている。

あの二人にも、重ねた季節に想うところがあるんだろう。
相多の瞳にも光るものがある。

離れてくれてよかった…心底思った。


謝恩会の前、何人かに呼び出された。
3人目を過ぎたあたりで、イライラしてきて…

「恋人がいるし、来週から同居する。制服のボタンは渡さないし、この時間がもったいない。
悪いんだけど、他にもこういうことをしそうな人を知ってたら、そう伝えてくれないか?」

と言ったら、呼び出されなくなった。
恋する人はみんなすごい。そう思っていた時期があった気もする…。
まぁ、優先順位って大事だしな。


急いで謝恩会の会場に入ると、青木が男に囲まれていた。
頭、首、肩、腰。どさくさに紛れて、触られている。

ため息が出る。

駆除に向かうと、「だめ!青木君に触っちゃダメ!」と橋下さんが殺虫してくれていた。
恥を忍んでお願いしてよかった。素晴らしい女子だ。なんで相多のことが好きなんだろう?

橋下さんに礼を言って、青木を受け取る。
青木にはトイレばかり行ってるけど、大丈夫?と尋ねられた。

呼び出されていると知ると落ち込むだろうから、誤魔化していたけど…。
まぁ、いいや。このムカムカは夜に晴らそう。


◇


無人フロントでカードを受け取る。
誰もいないエレベーター。繋いだ手を絡めて…。


目的の部屋まで、歩く。というよりは、駆けるような、感じで。


扉を閉めて、二人きりになる。我慢できなくて、噛みつくようにキスをした。
まだ、入り口。靴を脱ぐ間も惜しいというように、抱きしめた。


「井田…井田。んんっ…」


普段。エロいことなんて何も知りません。というようにおどけている。
でも、俺だけは知っている。青木の体がとんでもなくやらしいことを。


「青木ッ…昨日から、我慢するの辛かった。好きだ。青木っ、青木ッ」


深くキスすると、「んんっ…」と恋人が甘い声をだす。


「井田ぁ…いだ…っ。大好きっ…。」


青木の告白は、何度聞いてもいい。毎日、聞きたい。

「青木が昨日、電車でキスしてくれるから、我慢するのが辛かった。
もう、別れ際にあんなことするなよ。家まで追いかけて犯してやろうかと思った」


そういって頬を撫でる。糸を引いて唇が濡れている。


「…昨日、指を途中で離してから、…変なの…。
どうしよう…おれ、のろわれたのかも…。昨日の夜あんなに、いっぱい抜いたのに…っ…もう井田がほしい…♡」

そういって、自分から服を脱ぎだす青木。何度もお願いしたが却下されたストリップ。
まさか、卒業の日に見れるなんて…。

ベッドまではもう少し。でも、この入り口にある姿見。これもホテルのサービスの一つなんだろう。


「青木、鏡に手をついて。そう…足開いて、大丈夫。こわくないから…」


後ろから全裸の青木の体を弄る。
オレが育てたエロい胸を揉みながら、脚を持ち上げ、青木のかわいいちんこを扱く。

ん…ちゅっ…ん…

キスに夢中になっている青木は気づいていない。
目の前の鏡に映る自分が、こんなことになっていることを…。

あまりにエロくて、何度も無理やり入れようとしてる。それを、…我慢してる。

緩急つけて扱いていた乳首とちんこ。

青木が高い声をあげて、精液を放つ。
掌に大事に受け止めて、それを青木のエロいアナルに塗り込む。


「あ、…んんっ…ああ゛っ♡」


二本の指で、拡げていく。時間はたっぷりある。焦る必要はないのに…。
オレの指も、青木のナカも急かす様に整えていく。


「いだっ…いだ…っ…もぅ…おねがい…がまんできない…」


青木が俺の指に腰をこすりつけてくる。
拙い手でオレのベルトを外し、中に手を入れて、ねだる。これが、ほしいと。
ああ、かわいい。


ずぶずぶずぶっ…

青木の呼吸に合わせて、挿入を、していく。

は、は、と短い息を繰り返しながら青木は、受け入れてく。


「んんっ…いだ♡…すごいっ♡大好きっ♡」


鏡に、ばっちり接合部が映る。
赤黒いオレのちんこをピンクの青木のアナルが健気に受け入れている。
辛そうで、かわいそう。でも、堪らない。
青木の中に捻じ込む腰を止められない。

耳と視覚で青木に責められて、オレの限界が近づく。


「あおき、だいすき。一緒にいこ…」

「いだ…いだ…だいすき♡」


どちらともなくキスをして、果てる。出る直前で青木の中からちんこを出した。
青木のエロいアナルにオレ精液がかかる。

鏡には白い粘液で汚された裸体。
我慢できず、向かい合って唇をむさぼる。

すると頬に温かいものを感じた。
…青木、泣いてる?


「…ごめん。ごめん。あおき、泣かないで。いたかった?ごめん」


涙をキスで吸う。
いやいやと首を振る青木。かわいくて仕方がない。


「いだ…なんで…?」

「ん?どうした?」


顎を撫で、青木の顔を見つめる。


「…なんで、ナカにだしてくれないの…いだの…ほしかったのに…」


真っ赤な目で睨まれる。そして、青木から深いキス。


「…いだ…おねがい…いだの…おちんぽミルク♡俺のナカにいっぱいちょうだい♡」


青木の背中を鏡にぶつける。そして両脚を持ち上げ、下から突く。
浮いた足と腕をオレに絡ませて、青木は喘ぐ。

下から突き上げる力と、重力で降りてくる青木の体。
この体位を駅弁と知った時、大人の世界の奥行に感嘆した。

鍛えていてよかった。喘ぐ青木に挿入を繰り返しながら、部活での3年間に感謝した。


◇


「ああ゛っ♡んんっ♡あ、あ♡
すごいっ♡いだのおちんぱ…おっきい…すごいっ…♡きもちい…だいすき♡」


だらしない声が部屋中に響く。
みっともない声。そう侮蔑する俺、でも喘いでいるのも俺。


「いだ♡いだ♡だいすき♡もっと…もっとちょうだい♡いだのおちんぽミルクもっと♡」


ガンガン突かれて、体はきもちいい♡しかない。正直頭の中も「だいしゅき♡」でいっぱい。
でも、心のどこかで俯瞰的な自分がいる。
いや、もうこんな状況なら、ちゃんと全部バカになりたい。


「あおき…あおき。大好き。きもちいい。クソ、とまんない…」


井田から落ちる汗を浴びて、アホな俺はきゅんきゅん♡してる。
井田、色っぽいなぁ…。俺で気持ちいいんだ…よかった。

高速で井田が出し入れされる俺の体内は、ずいぶん前から、大変みっともない。
なのに、まだ。もっと、もっと…と井田にねだる。


目的は…うん。うすうす気づいてる。でも、なかなか恥ずかしくて、言えない。

今まで指でいじられていた乳首に、井田が噛みつく。
普通なら痛いはずの感覚が、それだけで射精できてしまう。難儀すぎる。

自分が達ってしまったのをよいことに、俺はとうとう、井田におねだりしてしまう。


「いだ…いだも♡イって♡…おれの中でたくさんミルク出して!んんっ♡種付して妊娠させて♡♡」


何故言った?俺。
頭を抱えて、穴に入りたい気分。いっそ消えたい…。


「クソ。なんで今日はそんなにエロいんだ…」


と、井田は俺に深いキスをした。
ただでさえ、大きくて固い井田が、さらに大きく、熱くなった。
パンパンパンと腰がぶつかる。


「あっ…あア゛あ…いだ♡おちんちん♡すごいっ…きもちい♡
いだのおちんぽミルクほしい♡んッんん♡ああ゛ん♡
孕ませてっ…♡いだのあかちゃんほしいっ…♡」


ああ、恥ずかしい。ひどい。こんなこと言わない。俺は言わない。
思ってても、絶対に口にしないのに…。


「子供は結婚してからって思ってたのに…クソ。あおき。好きだ!好きだ!」


ああ、井田も大概、ダメな子だ。

孕めと井田が低い声で囁いた後、体内が爆破された。
熱くて、でも、気持ちよくて…幸せな気持ちに浸っていたら、井田がつぶやく。


「え?母乳」


井田にこねくり回された真っ赤な乳首。そこからは、とろとろとミルクがにじんでいた。


これで、ご満足いただけただろうか…。


意識が霞んでいく中。
あの日、くだらないことで呼び出した神様に謝罪をした。



◇


「最近、青木君より、井田君のほうがやりとり多いね」


黒髪の彼女に、茶髪の彼氏。
西方で暮らす友人に想いを馳せる。


「そうなんだよねー。井田から何度も、コッ○リさんについて聞かれるんだよ。
井田の奴、大学生になってもコッ○リさんって(笑)あいつ、ガキだなー」


「ふふ…青木君も、井田君も楽しそうだね」


「オレ達も負けてないけどねー」


恋人たちは笑いあいながら、新緑の季節に溶けていった。



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